京都の木の家注文住宅のエビナ製材ブログ

【増築】京都市左京区S様邸の新築木の家注文住宅工事経過

はじめに

この度、京都市左京区にてS様ご家族の注文住宅新築工事をお任せいただくことになりました。
せっかくの機会ですので、いつものように家づくりの始まりから完成までの様子を、工事の進捗とともにブログでご紹介していきたいと思います。


S様と最初にお話をさせていただいたのは、2024年7月。
協力業者さんのお知り合いというご縁で、弊社にご相談いただきました。


ご依頼の内容は、築120年の茅葺きの家を解体し、敷地内を整理して新しい家を建てたいというもの。
ただ、現場は市街化調整区域という、基本的に建築基準法上新築の建物が建てられない地域にあたります。
そこで今回は、既存の母屋の離れを増築する形での申請を行うことで、建築が可能になることがわかりました。


とはいえ、120年間誰も手を入れてこなかった茅葺きの家と、その周囲の建物の解体からのスタート。
実際に茅葺きの家の解体は、私たちも初めての経験でした。
解体作業の大変さもさることながら、京都市の風致地区条例の制約にもかなり頭を悩ませました。
さらに、住宅ローンの審査でもさまざまな壁があり、正直「本当に着工できるのだろうか」と思う場面もありました。
それでもここまで進めてこれたのは、何よりも「この土地で新しい暮らしをつくりたい」というS様の熱意があったからこそだと感じています。


このブログでは、そんなS様ご家族の家づくりの記録を、工事の様子とともに丁寧に綴っていきます。
これから家づくりを考えておられる方にも、きっと参考になる部分があると思いますので、ぜひお付き合いください。

2025年11月5日 電気・配管工事が完了し、断熱前の工程が整いました

11月5日、左京区S様邸では、内部の大事な下準備となる工事が進みました。

この日は、
・電気配線
・給水・給湯・排水管の配管
・壁下地
・巾木
・建具枠

といった“家の骨格”となる部分が整いました。
室内を歩くと、生活動線やスイッチ位置、扉の納まりなど、
これからの暮らしをイメージしやすい状態になっています。

翌日からは、
吹付断熱「アイシネン」を2日間かけて施工。
断熱前の現場の様子は、このタイミングでしか見られない貴重な段階です。

2025年10月23日 タモ無塗装フローリングの施工が始まりました

↑電動丸ノコを使っている音が入っていますので爆音に注意してください

10月23日、左京区S様邸では、
玄関〜LDK〜寝室にかけて タモ無塗装フローリング の施工を行いました。

今回採用しているタモ材は広葉樹で、
無垢材の中でも比較的硬く、キズがつきにくいのが特長です。
その分、杉などの針葉樹に比べると施工が少し難しく、
大工さんの技術が求められる材料でもあります。

タモは湿気を吸うと膨張し、
板同士が押し合って「突き上げ」が出ることもあります。
そのため、動画のように1枚1枚のジョイントにスペーサーを入れ、
あえて少し隙間を取って張っていく方法を採用しています。

それでも季節や湿度によって動きが出るのが、天然木の面白さであり難しさ。
木の性質を理解した上で、長く快適に使えるよう丁寧に施工を進めています。

2025年10月7日 平屋の上棟を迎えました

10月7日、左京区S様邸の平屋が無事に上棟しました。

上棟に向けて、

10月3日:先行足場

10月4日:土台据え

10月6日:構造材の搬入
と準備を進め、7日の上棟本番を迎えました。

今回の建築地は 風致地区 に該当しているため、
屋根材は和瓦のように見える平板瓦を使用し、
外壁の色にも指定が入るなど、周囲の景観への配慮が求められます。

また、現場へ向かう途中の道路に 高さ2970mmの制限 があり、
レッカー車が入れないため、
上棟はすべて 大工さんの手組み で行うことになりました。

上棟当日は曇り空で直射日光も弱く、
作業環境としては非常に恵まれた一日。
大工さんたちの手際もよく、安全に棟を上げることができました。

最後は顔合わせも兼ねて簡易な上棟式を行い、
S様ご家族にとっても工事の節目となる一日となりました。
S様、このたびは本当におめでとうございます。

2025年10月1日 基礎工事完了と給排水配管工事

10月1日、左京区S様邸の基礎工事が無事完了しました。
立ち上がり部分がきれいに仕上がり、建物を支える“足元”が整いました。

基礎が完成したこの日から、
基礎の上に 給水・給湯管、排水管 を敷いていく作業へと進んでいます。
配管の位置は、間取りや設備機器の配置に直結するため、
あらかじめ細かく調整しながら進めていきます。

また、基礎の外側では 雨水配管 の施工も同時に進行。
建物まわりの水の流れを整える大切な工程です。

基礎が完成すると、一気に家の輪郭が見えてくるタイミング。
ここから内部の設備や構造がどんどん形になっていきます。

2025年9月16日 JIOによる基礎配筋検査を受けました

↑は9月12日に鉄筋を配置しているところ

9月16日、左京区S様邸ではJIO(日本住宅保証検査機構)による
基礎配筋検査を受けました。

基礎の鉄筋は、コンクリートを打設するとまったく見えなくなる部分です。
そのため、鉄筋の太さ・間隔・配置などが図面通りに施工されているか、
第三者機関による検査が必須となります。

今回も問題なく合格。
丁寧に施工を進めている職人さんのおかげです。

このあと、コンクリート打設の工程へと進んでいきます。

2025年8月28日 基礎づくりが始まりました

左京区S様邸の木の家づくりが、いよいよ本格的に動き出しました。
地盤調査も完了し、建物の配置が決まり、まずは敷地に直角を正確に出して、その位置を写し取る作業から始まります。

家づくりでは、この「配置決め」がとても大切なステップ。ほんの少しのズレが後々の仕上がりや住み心地に影響するので、慎重に確認を重ねながら進めていきます。

配置が決まったら、次は基礎をつくるための掘削作業に入ります。
大きな重機で土を掘り起こしていくと、いよいよ「ここに家が建つんだ」という実感が湧いてきます。

これから、基礎工事 → 上棟 → 内装工事へと段階を踏みながら、少しずつS様ご家族の夢の住まいが形になっていきます。

2025年7月31日 解体工事 完了|更地になって見えた広さ

予定していた建物の解体が、本日すべて完了しました。
長年敷地を覆っていた建物がなくなり、現場に立って改めて実感するのは「思った以上に広い!」という驚きです。

この広々とした敷地に、これから小さな平屋の木の家を建てていきます。
建物のボリュームは以前よりコンパクトになりますが、その分、空間の豊かさや暮らしやすさにこだわった住まいを目指します。

2025年7月14日 茅葺き屋根、半分まで解体

解体工事が始まって約2週間。
茅葺きの母屋が、ついに屋根の半分ほどまで解体が進みました。

写真のように、重機が屋根の中へと食い込んでいく様子は、見ていて迫力があります。
茅葺きの屋根は、金属瓦の下に分厚く積まれた茅(かや)が何層にも重なっており、構造も非常に複雑。
手作業では相当の時間がかかるところ、重機が入ることで一気に作業が加速しました。

それでも、やはり120年という時間が積み重ねた建物には、簡単には崩れない重みがあります。
金属瓦の下に現れる茅や土、そして梁(はり)や柱が崩れていく様子には、少し寂しさや名残惜しさも感じる一日でした。

2025年7月1日 解体工事 着工

いよいよ本日、S様邸の解体工事が着工となりました。

着工に先立ち、6月中に事前準備として
・今お住まいの家へつながる水道管と電気配線を、解体しても支障のないよう切り回しする工事
・残すもの・処分するものの区分け作業
を進め、ようやく本日を迎えることができました。

今回解体するのは、120年前、明治時代に建てられた茅葺きの家。
中に入っている松丸太や大黒柱のケヤキも非常に立派で、時代を感じるものでした。

解体前に、せっかくなら古材として再利用できないかと、同業の知り合いに松丸太の活用を相談しましたが、すでに古材も在庫過多とのことで、やむなく処分することに。
また、台所の天井に使われていた竹も、煤竹(すすだけ)として再利用できるか竹屋さんに確認しましたが、淡竹(はちく)という種類で、パキパキに割れてしまうので再利用は難しいとのことで、こちらも処分となりました。

こうした古民家の解体は、ただ壊すのではなく、残す・使う・処分するを慎重に判断するところが大切で、今回も改めて学ぶことの多い作業となりました。

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