京都の木の家注文住宅のエビナ製材ブログ

京都の注文住宅会社が考える。省エネルギー基準の改正と現代版土壁(断熱+蓄熱)

しあわせ木の家づくり建築家の海老名宣行です。
断熱しつつ蓄熱もするのが理想です。
今回は断熱性能にはじまり、土壁の話を書いていきます。
どちらかというと数値やスペックが好きな男性向けの記事かもしれませんね。
エビナ製材の新築木の家施工事例はこちらでご覧いただけます。
エビナ製材の会社概要は、こちらです。
 

平成25年住宅の省エネルギー基準の改正

 
ところであまり知られていないですが、平成25年10月1日、住宅の省エネルギー基準が改正されました。
平成11年省エネルギー基準の置き換えになるもので、2020年をめどに段階的に義務化されます。

建築:改正省エネルギー法関連情報(住宅・建築物関係) – 国土交通省
詳細はこちらです

内容としては、

1.地域区分が6区分だったのが、8区分に細分されたこと。

2.外皮(外部に接する壁や屋根)の断熱性について一定の基準を設けること。これは平成11年省エネルギー基準とあまり変わらない。

3.新しく、
一次エネルギー消費量基準という基準が付加されました。
断熱性能だけではなく、冷暖房設備や照明器具、給湯器、太陽光発電、コージェネレーション設備といった設備機器も含めてトータルで省エネルギーが出来ているかについて基準が決められました。冷暖房には高効率のもの、照明器具はLEDや蛍光灯、給湯器は潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)等を使ってどれくらい省エネルギー出来ているかを一次エネルギーに換算して表示しなさいということです。

最近よく言われるゼロエネルギー住宅や低炭素住宅という目標に向かって国土交通省がリードしていっているというわけです。
日本は資源輸入国なので、出来るだけ資源を使わないほうが国としても良いわけなんでしょう。
 

ゼロエネルギー住宅・低炭素住宅

 
ゼロエネルギー住宅というのは、エネルギーの消費と生産をプラスマイナスゼロにした住宅のことで、ガスや電気を消費しつつ、かつ太陽光発電等でエネルギーを生産して、計算上(もしくは正味で)ゼロにしようという住宅のこと。

ただ、エネルギーをプラスマイナスゼロに出来たとしても、それを達成するのに施主の負担は一体いくらになるんだと言いたいところです。
 

高断熱化と省エネルギー性が求められます

 
要求されるのはやはり住宅の高断熱化や遮熱によって、室内の温度が下がらないよう(上がらないように)にすることです。エネルギーのロスが少ないほうが良いわけです。

そこで最も重要になるのは、使用する断熱材や断熱の構法です。

既に平成11年省エネルギー基準(省エネルギー等級4)が既に一般的なものになっていますので、それに適合するものを紹介していきます。

京都は地域区分で4地域ですので、屋根・天井・壁・床に設定された熱抵抗値を越える数値を持つ断熱材を使用します。

ただし、「窓ガラスにLow-Eガラスを使用すれば屋根・天井の断熱材の厚みを半分の厚みにしても良いよ!」というよくわからない緩和(トレードオフと言う)もあるのですが、ややこしいのでこれは省略。どう考えても、屋根や天井の断熱材の厚みを減らしたら暑いでしょ。。。
 

充填断熱工法の場合(外断熱工法についてはここでは省略します。)

 
熱伝導率で統一してわかりやすくしてみました。(単位:1000x W/mK)

高性能グラスウール 熱伝導率 38
高性能グラスウール

ロックウール 熱伝導率 38
ロックウール

セルロースファイバー 38-40(メーカーによって数値がまちまち)
画像がないのでgoogle検索

アイシネン 35
アイシネン

フェノールフォーム保温板 20
フェノールフォーム保温板

代表的な断熱材の熱伝導率を書きました。
熱伝導率の数値が小さい程、断熱性が高いことになります。
また断熱性が高ければ高い程、コストも高くなります。
これに厚みも含めて計算します。

断熱材は施工も重要で、セルロースファイバーやアイシネンは現場での吹き付け施工となり、壁の中の隅から隅までぴっちり充填することができます。これに対して、グラスウールやロックウールはマット状の断熱材をその場で取り付けていくだけなので、どうしてもスキマが出来てしまいます。
youtube 新潟の住宅建設 気候風土に最適な断熱材「アイシネン」(ビフォアーアフター)

余談ですが、最近セルロースファイバーの一部のメーカーで、セルロースファイバー吹き込みの機械を販売して、施工認定も無しに誰でも施工できるようにしているところがあるので要注意です。そりゃ吹き込むぐらい誰にでも出来ることかもしれませんが、ちゃんと施工できているかどうかの責任も必要でしょうよ。

 

ということでまとめると

 

寒いのがとにかくイヤ!という人にはセルロースファイバーやアイシネンが良いです。体感的にほんとに熱が逃げません。

コストと性能をバランス良く保つには高性能グラスウールやロックウールが良いです。
 

自然素材系の断熱材

 
こうした工業製品の場合は数値を上げることができますが、逆に自然素材の製品はなかなか容易には数値が上がりません。

たとえば羊毛断熱材では40になりますし、杉の樹皮断熱材では44という数値になります。
 

断熱と蓄熱の両立

 
更に、私が今個人的に興味を持っているのは、

土壁です。
土壁 – Wikipedia
土壁の家 | アトリエDEF

断熱性能は熱伝導率で620-690という驚異的な低断熱性です。グラスウールの安いものでも熱伝導率は50なので、10倍以上の低断熱性です。

では何が良いのか?
それは熱容量が大きいこと。つまり、蓄熱性がとても高いこと。一度暖まると冷めにくく、また夏場はひんやりしている。それに自然の素材なので、木と同様に呼吸します。(湿気を吸ったり吐いたりする)

土壁についてはまだあまり詳しい数値は出ていませんが、昔から使われているようにやはりこれも風土に適した素材です。今でも土壁を採用している工務店はきちんと存在しています。

ただ、土壁だけだとやっぱり断熱性は低い(寒い)ので、それを補うために外断熱で覆います。これも土壁を採用されている工務店が少しずつ進めておられます。

室内側には土壁で蓄熱と呼吸をさせ、室外側では断熱して外からの熱を入りにくくすることで、より室内側の温度変化を少なくさせようとさせようという計画です。

今現在使用している、「石膏ボードの上に1.5mmぐらい塗る珪藻土」よりも、柱の間で75mmぐらい塗る土壁のほうがそりゃ蓄熱性も吸放湿性も高いでしょう。だからチャレンジしてみたいです。

でも、高くつくので土壁の良さをわかっていただける人でないとご注文いただけないですよね。。。
実験的に試してみたいところです。

エビナ製材の新築木の家施工事例はこちらでご覧いただけます。
エビナ製材の会社概要は、こちらです。

ブログランキングに参加しています。
クリックで応援お願いします。

にほんブログ村 インテリアブログ 北欧ナチュラルインテリアへ
にほんブログ村


トップへ