京都の木の家注文住宅のエビナ製材ブログ

集成材かムク材か

しあわせ木の家づくり建築家の海老名宣行です。
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今後このブログは、全国の「家を建てようとする人」の役に立つような有益な情報を書いていきたいと思います。
専門的な知識をわかりやすい言葉で表現して理解していただけるように努めます。
そうしたほうがgoogleさんに好評価らしいいやなんでもありません。
たまにはおちゃらけたことも書いていきたいと思いますよ。真面目なことばかりでは息が詰まります。
では論じます。
 

Q.木造住宅の構造体に使う素材は、集成材を使うのが良いのか、それともムク材を使うのが良いのか?

集成材か無垢材か
 

A.「鉄骨と同じように構造体は見せるものではなく、あくまで建物を支えるものだ!」という場合は集成材、「昔ながらの木造住宅と同じように柱や梁は見せてインテリアの一部として考えたい」という場合にはムク材を使うのが良いです。

ただし、集成材で使用されている樹種はシロアリや腐りに弱いので、こまめに点検する必要があります。もちろんムク材での場合も10年に1回ぐらいは点検が必要です。
 
さてそれではまず集成材から見ていきましょう。

 

集成材とは?

 

集成材 – Wikipedia
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20ミリぐらいの厚みに製材した木材を圧縮接着して作ったもの。樹種は欧州のホワイトウッド(スプルースなど)や赤松(レッドウッド)が多い。スギやヒノキの集成材も製造されているがそんなに出回っている商品ではない。

 

集成材の良いところ

 

1.ムク材は強度にばらつきがあるが、集成材は工業製品のため設計強度がはっきりと出る。ここが集成材を推す人の最も強調する点です。

2.工業製品として製作するので、大きくても長くても曲げても製作することが可能。大断面集成材と言って、学校、ドームなどの公共建築物に使用されることがあります。

木造ドームの変遷 | 実施例 | 新木造技術 | 鹿島建設株式会社
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今後耐火集成材(CLT)を使った木造のビルが建っていくようですね。これは木材の幅広い利用という点では良いことだと思います。(国産材が使用されるのであれば・・・)

竹中が木造商業施設、地上4階、横浜で受注――耐火材採用。
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集成材の悪いところ

 

1.住宅用に使用される構造用集成材では、使われている木材が欧州産のホワイトウッドや赤松(レッドウッド)がほとんどで、樹種としてみたときに国産のヒノキと比較すると耐水性や耐蟻性に弱い。集成材は、木の芯の部分(芯材)・木の周辺の部分(辺材)がバラバラに接着してあります。

木材 野ざらし実験(国産材VS外国産材)/森林林業学習館
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エビナ製材でも今現在ヒノキムク材とスギムク材とホワイトウッド集成材を野ざらしでどうなるか実験していますが、一般的によく使われているホワイトウッド集成材の柱だけがシロアリにやたらめったら食べられています。。。ヤラセでは全くないのですが。。。手前がホワイトウッド集成材、左がスギ、右がヒノキ。

ヒノキとスギとホワイトウッド集成材の柱

集成材を使用するにあたって最も問題なのが、使用されている樹種が日本の風土に合っていないものが多くシロアリや腐りに弱い点です。

2.梁をむきだしにして見せる場合、梁の横面に黒い接着剤の線が出る
集成材は接着剤を使用するので、どうしても接着剤の部分の黒い線が出てきます。
また、ムク材のように自然な木目が見えるわけではなく、接着剤の黒い線ごとに違う木目が出ます。
これが見た目にあまりキレイとは言えないと僕は思います。

では今度はムク材の場合

 

ムク材とは

 

一本の木を製材して作り出すもので、製材のやり方によっていろんな用途に使うことが出来ます。

木の耐久性は木の芯のあたりが最も高いので、例えば柱であれば一本の木の芯を持ったものを使用します。

 

ムク材の良いところ

 

1.一本の木から取れるもので、その木にしかない木目や特徴を持っている。年月が経つと色が飴色に落ち着いてツヤが出る。年々強度が上がっていく。
こちらは京都府原様邸の6年経過したスギのフローリング。
6年経過したスギのフローリング

2.適材適所:樹種によって特徴があるので、場所毎に使い分けることで木の良さを引き出せる。
例えばヒノキは耐水性や耐蟻性が高いので湿気やすい床下に、スギはヒノキに劣るが耐水性や耐蟻性があるので柱として使用する。というように。

スギの柱
スギの柱

ヒノキ無垢材の土台
ヒノキの土台

木は育った地域によっていろんな樹種があります。

世界の銘木 木材図鑑
詳細はこちらです

3.調湿性:湿気を吸ったり吐いたりする、簡単に言えば「呼吸する」ので、梅雨の時期のジメジメや結露を比較的抑えることが出来る。

 

ムク材の悪いところ

 

1.上に書いた「呼吸する」分、反りや割れ、収縮が起こる。人工乾燥でも自然乾燥でも良いが、ちゃんと乾かしておかないと反り・割れ・収縮が激しく起こる。

この「呼吸することで木が動くこと」がクレームとして扱われることを嫌ってハウスメーカーは取り入れることが少ないわけです。これはもう徹底してお客さんに説明するしかありません。

2.材によって強度にバラツキがある。このため、構造計算をかける場合は、樹種によって決められた数値に基づいて計算されて材寸等が計算されます。

といったところがそれぞれの長所短所です。

 

良いところ悪いところをまとめると

 

集成材はとにかく丈夫な構造が良い!構造なんて見せない!という場合に適しています。
ムク材は木の風合いや色の変化をインテリアの一部として考えたい!という場合に適しています。

ただ、集成材でつくった家の場合、風土に適していない樹種を使っていますから、営業さんがなんと言おうがほんとにこまめに床下にシロアリが入ったり構造体に水が入って腐ったりしていないか点検しておいたほうが良いです。ムク材でつくった家でも10年に一度は点検したほうが良いです。

 

エビナ製材の木の家としては

 

で、それらを踏まえた上で、エビナ製材ではムク材を推します。

なぜかと言うと

 

構造

 

まず、長いスパンで梁を飛ばさない限りはムク材で十分対応可能。
構造計算が必要であればムク材でも構造計算をかけることが可能。
また、慣れが必要ですが、木造の構造・力のかかり方を検討しながらプランを作成すれば無理な力のかからない構造体をつくることが可能です。
ただ、梁のスパンを大きく飛ばす場合は構造用集成材を梁部分に使用することがあります。

 

日本の風土に適しているか

 

日本は湿度も高くシロアリも生きている地域ですので、構造体にはシロアリや腐りに強い樹種を使う。特に床下の土台や大引(おおびき)にはヒノキ、柱はスギ・ヒノキ。というようにすれば、長持ちする。つまり風土に適した材を使うと長持ちする。

 

風合い

 

柱や梁をむきだしにすることがエビナ製材の木の家では多いので、見た目にキレイで時間と共に色が変わってツヤの出るものを使いたい。だからムク材を使用する。黒い線の入った梁をむきだしにしたいと思いません。

 

材木店として

 

エビナ製材は工務店向けには集成材もムク材も販売している材木店です。
集成材とムク材のどちらの良いところも悪いところも知った上でムク材を推しています。
意味もわからず教えられた通りに営業しているのではなく、自分で実験もしてみて、「こっちのほうが良い」と思えるからオススメしています。

ということで、

 

ムク材を適材適所で使う木の家のほうが、ちゃんと長く持つのでオススメです。

 

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