壁一面が本棚、読書空間がある家。 / 京都府・O様邸
家を建てようと思い立ったきっかけは何ですか?
真剣に考え始めたのは、シロアリ騒動から。短い間ですけど、築30年の家に住んでいたんですね。間口が狭くて奥に長く、西日はきついのに南北に窓がなくて日中も暗い。お風呂場があった東側はジメッとしていて、結局そこにシロアリが出てしまって。 もともと、いずれ建て替えようと本や雑誌をいろいろ見ていて建売より注文住宅、あたたかみのある木の家にしようと考えていたんです。リクルートさんの注文住宅カウンターへ行って、こんな感じの家と伝えたら、エビナ製材さん含め3社を紹介してくれました。
その3社からエビナ製材を選ばれたのは?
人柄が合うなと思って。海老名さんは押しが強くなく(笑)「絶対うちでやって!」という雰囲気がないんです。それでいて最初から案を出してプランを立ててくれるし、ショールームもすごく素敵で。割とすぐ決めました。 ふたりとも迷いはなかったですね。海老名さんからは「そんなんでいいんですか、もうちょっと他を見たらどうですか」と言われましたけど、いや、お願いしたいですと。
大手でないことに不安はなかったですか?
特に気にしていなかったです。10年保証などもちゃんと説明してくれたし。むしろ大手じゃない分、小っちゃい困りごととかでも、きっちり対応してくれる雰囲気があって。大きなハウスメーカーだと個別に担当者がいてその人に言わなきゃいけなくて、でも来るのはその会社の社員じゃなく契約したところの人でしょう。それよりかは直接、海老名さんに相談できて、海老名さん自身が来てくれるほうがいいなと思ったんです。
天井高をあげ、吹き抜けを設けた開放的なリビング。床は30mm厚のパイン材を使ったフローリング、壁や天井は珪藻土仕上げとあって湿気を感じず、生乾きの洗濯物が半日で乾くほど。2階の手すりは、1本1本間隔の違うオリジナル
異素材を組み合わせ、新しさ感じる外観に。外壁は正面2階が軽いガルバリウム鋼板のサイディングで裏側に空気が通る工夫を施しているそう。1階は昔ながらの杉板張りで経年美が楽しみ
杉板の色や質感とのコントラストがきいた玄関ドアを配して印象的に。玄関の照明は落ち着いた四角形。灯りは暖色
ご主人の「書斎にこもるより家族の気配を感じられるほうが…」という希望で、階段下はフルオープンの仕事場に。階段は将来お子さんが遊んだり座って本を読んだりする想定で設計
対面キッチンから明るいリビングを臨んで。奥さま曰く「木の床だとぎゅっぎゅと踏みしめられるからか、子どもがすごく動き回って台所にも来るんです。きっと楽しいんやと思います」
機能性と見た目、どちらも考慮されたキッチン背面のカップボード。東側に面しているので、朝日を招き入れるべく上部には窓を
キッチンの袖壁はブックスタンドを兼ねていて、絵本や雑誌を見せる収納にできる
カップボードの扉には、格子状の凸凹模様が入ったチェッカーガラスを採用
カウンターの天板はタイルばり
玄関ホールとリビングを仕切る、イエローダイヤのステンドグラスが入ったシンプソンドア。ステンドグラス部分は、ナチュラル建材専門店・WOOD DEPOTのオリジナル
家づくり全体に関する要望は何と?
前の家で感じていた不満の逆を言いました。シロアリが出なくて、光がしっかり入って、夏と冬が過ごしやすいようにと。前の家は断熱材がまったく入ってなかったみたいで、夏はむちゃくちゃ暑くて冬はむちゃむちゃ寒かったんですよ。間取りではリビングを大きく。和室もほしいなと依頼しました。エビナ製材のサイトに今までどんな家を建てたか詳しくのっているので、よく見て、うちもこんな風にしたいなと参考にさせてもらいました。
ご夫婦それぞれのリクエストは?
[ご主人]本棚ですね。大きな本棚があって、本をゆっくり読める図書館みたいな感じが良いなあと。それと階段下のワークスペース。家の中はほとんど僕の趣味にさせてもらいました。
[奥さま]私は外観重視でおしゃれに。サイディングにしてほしい、でもサイディングだけでは固い感じなので木も使ってほしいとお願いしました。こう使ったらいいというアイデアは海老名さんが出してくれましたよ。
打ち合わせの印象を教えてください。
家を建てるまでに1年くらい毎月1、2回、図面見てああだこうだと。最初は何をそんなにするのかなと感じたけど、決めなきゃいけないことはその都度あって、海老名さんが毎回宿題を出してくれたり新しい提案をしてくれたり。どうでもいい話もしてしまうんですけど聞いてくれて、お風呂のショールームへ行くのもつきあってくれました。この子の出産があったときは、わざわざ病院や実家にも。いろんなところで打ち合わせしましたね(笑)。
では、なかなか現場には来られなかった?
いや、僕はほとんど毎日遊びに来てました。使い勝手とかで何かあったら言ってくださいと海老名さんが言ってくれてたので。 私は実家にいる間、主人が撮ってきてくれた写真を見たり、海老名さんのブログやツイッターをチェックしたり。こちらに戻ってからは、土日のたび現場へ来るように。キッチンの釣り戸棚の位置やリビングの板の幅、洗面所のタイルも全部、現場でどうしますかと聞いてくれて一緒に決められました。
引っ越してきたのは7月。前年同月は「汗ダラダラ」だったのが、エアコン1台だけで涼しく、過ごしやすかったそう。取材した11月初旬も何もつけていない状態で寒さを感じず快適
リビングには、周囲になじむナチュラルな風合いのペンダントライトを設置。その灯りが辺りをやわらかく照らす
カウンターの照明は吊り下げペンダント。ネットで購入
階段の開口部に横板をはり、落下防止に。棟梁がデザインしてくれたそう
リビングとの続きに和室が。襖やブラインドには、コーディネーターのアドバイスを取り入れて。家の全体の雰囲気を見て提案されたそう。床下には収納スペースも
和紙を使った吊り下げ式の照明は、あたたかみがあって落ち着いた雰囲気に一役買っている
洗面所の壁も珪藻土。扉の裏はご主人が手塗り
モザイクタイルを貼り、その上に陶器のシンクを乗せた洗面化粧台
2階ホールの手すりからリビングを見下ろして。ご主人お気に入りの眺め
~和室の小上がりでママとリラックス~ 和室の床高をあげ、腰掛けるのにちょうどいい高さに。リビングテーブルに座る人と目線の高さが合い、自然に会話を交わせる
ご主人の隠れ家としても使えそうなロフト
階段を上がった先のホールは壁1面に本棚があって図書館のよう。棚の素材は杉の足場板で頑丈。いずれはホールの一角にソファを置き、ゆったり本が読めるスペースにする予定
本棚にはどうやら900冊以上収納できそう
子ども部屋にはおもちゃもスタンバイ
子ども部屋から2階ホールを臨んで
本棚側から見た2階ホール。左奥の隠れている部分には大型本を収納できる作り付けのボックスが
それぞれのお気に入りの場所はどこでしょう?
[奥さま]リビングの辺りですかね。台所の上に窓を開けてくれたんで朝から光が入ってきて明るいなと。ずっと暗いというのがなくなって、照明をこうこうとつけなくても大丈夫です。
[ご主人]本棚と、階段下のスペースが好きですね。だいぶ内装ができてから、机はL字型のほうが使い勝手が良いかなと言ったらすぐに変えてくれて。棚も最初はなかったのに、作業の最中に追加してくれました。
希望が叶わなかった部分もありましたか?
バスルームがそんなに大きくとれなくて、小さい浴槽しか入らなかったんです。海老名さんは頑張ったら大きい浴槽を入れられるけど、家のためには無理して入れるよりこの造りのほうが良いと助言してくれたので、なるほどと。 実は、海老名さんが一番お金の管理をしてくれたんです(笑)。どんぶり勘定で最初はあれもしたいこれもしたいと言っていて、それは金銭的にやめたほうがいいんちゃいますか、こっちのほうがたぶん安くなりますとか教えてくれたので考え直したことも。おかげでほぼ予算内でできました。
子ども部屋は間仕切ると2部屋に。カーテンは遊び心を取り入れたポップカラーを選択。白いレースのカーテンに動物のシルエットが刺繍されているのも楽しい
これから家を建てる方に一言お願いします。
こんなの無理かもしれないとか、これはどうだろうとか、小っちゃい疑問質問に海老名さんはちゃんと答えてくれます。海老名さんができることはできると言ってくださるし、例えば自分でネットで買ったほうがいい場合はそう教えてくれるんで、何でも聞いたらいいと思います。話しやすいですから。
ありがとうございました。
(インタビュー:茂内希保子 撮影:江原英男)